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ベランダでNIKEのエアフォース1を磨いた。
中学生時代、2年生まではブランドのスニーカーを履くことを許されなかった。
1番最初に買ったのはadidasのスーパースター。それまではどこに行くのもノーブランドのランニングシューズを履いていた。
洗練されたデザインと、レザーの質感、レトロな雰囲気に魅了され、帰宅して玄関に脱ぎ捨てられ自分のスニーカーを飼い犬のように眺めていた。
バスケにハマってからはadidasよりNIKEが好きになった。
エアフォース1のボリュームのあるソールとアッパーはスニーカーとして洗練され尽くしたデザインだと思う。
スポンジで汚れを落とす。
白さを取り戻したNIKEのロゴを指でなぞった。
よっちゃんがバレーにハマってしまったので、バレーボールを買いに行くことになった。
途中、揚げパン屋専門店であんこと餅が入った揚げパンをひとつテイクアウトして、駅のホームで食べた。
オープンして何年も経っているはずなのに、昨日オープンしたみたいに綺麗な店内で、店員さんの笑顔も晴れやかだった。
春風。
そんな感じの爽やかさ。
「夜は家で焼肉にしようか」
僕達は高級なお店が苦手だ。
例えば目の前でステーキを焼いているようなお店で、「電動キックボードに乗ってみたいね」とか「おばあちゃんが誘ってくれるお昼ご飯は、坦々麺屋さんなんだよ」とか、喋りにくい。
他愛のない話ができるご飯の方が何倍も楽しい。
よっちゃんがカルビを食べた。
目を閉じて味を噛み締めている。
美味しいサイン。
気取らない時間が何よりも大切なんだ。
24:11