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誕生日だ。
「何か食べたいものはある?」
よっちゃんが質問してくれた。
ピザが頭によぎった。
誕生日だからといって特別な事はせず、掃除機をかけて、製図の宿題を片付けた。
お昼はラーメンを作って、少しベッドで昼寝をした。
友達からお祝いのメッセージが届く。
夜、サザエさんを見ながらピザを注文した。
「プルコギのピザがおいしいよ」
よっちゃんがおいしさに感動して目を閉じている。
実家から電話がかかってきた。
ばあちゃん、姉、妹、甥っ子、姪っ子の声を聞く。
歩いてきた道を振り返る。
ウイルスで世界が変わってしまってから、それ以前の記憶がはるか遠い昔のように感じられる。
いまは力を蓄える時。
少し息を吐いて心を整えた。
明日はまた資格学校だ。
後で余裕を生むのは、余裕無く努力した場合のみ。
世界が元に戻るその日の前に、ぼくは一歩先に進む。
24:12