2/10
夢を見た。
冷めたホットドッグを食べると口の中の水分が奪われ、吐き出すと同時に歯が抜け落ちる。
見たことのないデザインのパソコンには、グラフィックのアプリケーションが作動していて、中学校の同級生が後ろからちょっかいをかけてくる。
口の中が乾いている。
舌先が冷たくざらざらして気持ち悪い。
16時間絶食するとファスティングになるらしい。
昔から朝ごはんを食べるのは苦手だったから、朝を抜いてみた。
特に実感はないけれど、老化は抑えられたらしい。
色々な理屈で人は心の平穏を保っている。
コンビニのサラダにドレッシングをかけて、気休めのフレッシュさを演出する。
カップに入ったキャベツに若々しさは無い。
議事録をまとめる。
頭の中を浮遊する言葉を繋ぎ止め、文章を構築する。
ページの端にマスキングテープで言葉を仮留めする。
文章を俯瞰で見ると所々に居心地の悪そうな単語が居る。
キーボードのNが剥げている。
エンターを軽く叩く。
よっちゃんがお洒落なiPadのキーボードを欲しがった。シルバーのシンプルなデザイン。
形から入るタイプじゃないはずだけど、相当気に入ったみたい。
残念ながら今のキーボードはまだまだ健在だ。
シチューとパンを食べる。
素朴な味わいを感じる。
次の食事は16時間後。
みずみずしいトマトが食べたい。
23:56
2/9
朝、今週末はテストがあるので勉強しよう。
そう思いながらiPhoneで2度寝のタイマーをセットする。
意志の強い人を心から尊敬する。
眠い云々の前に起き上がるという選択肢が見当たらない。
中途半端に余裕のある朝になってしまい、ぼーっと歯を磨く。
テレビでは持続可能な社会に向けた取り組みが紹介されている。
価値観はこうやってぼーっと享受する情報からも形成されるんだろうか。
事務をこなし、打ち合わせを済ませる。
帰り道、コンビニでパンを買って食べながら帰った。
よっちゃんが帰ってくるまでの繋ぎ。
お腹が落ち着き、勉強に集中する。
血が胃と頭に半分ずつ行き渡る。
勉強は十分ではないけど、ベッドに横たわる。
強制終了。
意志の強さは今日もまた不足している。
21:19
2/8
体がビキビキと音を立ててる。
久しぶりの運動のせいで全身が痛い。
筋肉の修復を優先してしまったのが、体力が全然回復していない気がする。
高校時代は毎日死ぬほど走ってたのが考えられない。SHARPのガラケーを握りしめ、最後のメールを打つ途中で気絶するように眠る。
りんごの絵文字。
あの頃、疲れが溜まるという概念はなかった。
事業の同意を貰いに、権利者の元へ。
それぞれの人生を垣間見る。
沢山の苦悩を経験し、今に行き着き、それぞれの結論を語る。
手の皺を眺めながらゆっくりと話を聞いた。
昨日の鍋にラーメンを入れ、さっさとご飯を済ませた。
よっちゃんが作ってくれていたニラ玉も温める。
勉強していると、
雪を頭に乗っけたよっちゃんが帰ってくる。
ラーメンをもうひと玉茹で、一緒に世界まる見えを見る。
疲れなんて概念がない時から、おもしろホームビデオのコーナーが好きだった。
よっちゃんも今日は疲れたらしい。
ベッドで寝かしつけてから、もう一度勉強しよう。
筋肉痛の腕の中でよっちゃんが眠る。
22:02
2/7
2月も1週間が経ったらしい。
よっちゃんは今日から職場が新体制になるらしく、少しナーバスだった。
一緒に仕事をしてきた人をサンプリングして、理想の人物像を創ってみる。
優しく、はっきり意見を言える人になれるよう心がけたい。
駅でよっちゃんを見送った。
今日は友達とラーメンを食べに行く約束がある。
せっかくだし、お昼まで公園でバスケをする事にしよう。
今日は思いつきで行動してみた。
低いハードルをリズミカルに気持ちよく飛び越えるような、穏やかで心地いい週末。
アパレル業界が厳しい状況らしい。
いつのまにか高い服を買うという発想が抜け落ちていた。
コロナの前から本当に必要だったのだろうか。
帰宅してよっちゃんを待つ。
穏やかな顔で帰ってきた。
新体制はうまく行きそうだ。
21:31
2/6
ビールが残った体をゆっくりと起こす。
血が循環し始める。
頭からシャワーを浴びると、霜が降りた草が徐々に色を取り戻すように、体が覚醒し始める。
ドトールでサンドイッチを急いで胃に流し込んでから資格学校に向かう。
今日は構造力学だ。
二日酔いの頭は、物事を把握できているようでできていない。
部屋に脱ぎ散らかされた服や、飲みかけのペットボトルが散乱しているのに、何にも手がつけられず、茫然とソファに座り込んでしまっているような。
ラベルに書かれた文字を無気力に読む。
この水はフランスからこの為にやってきたのか。
なんとかテストもパスし、帰宅する。
よっちゃんがお好み焼きを作ってくれた。
あまりうまく焼けなかったみたいで、すこし不満げだった。
どんな形でも作ってくれたご飯は美味しい。
お餅が伸びる。
今日は少し疲れたな。
ソファーに寝転がり瞳を閉じる。
頭の中で公式を思い出す。
霜が降りるようにゆっくりと。
22:51
2/5
昨日よっちゃんが買ってきてくれた、鴨のパストラミをお弁当に詰めた。
最近我が家では鴨肉がブームだ。
脂が甘くて、サニーレタスのサラダにも良く合う。
今日は、久しぶりのオンライン飲み会。
夜に予定が入るのは久しぶりで、元気が湧いた。
Amazonでまとめ買いした、フルーティなホワイトビールを冷蔵庫に入れておこう。
マフラーなしでも過ごせるほどの気候。
乾燥した空気が体を通り抜ける感覚が好きだ。
ビルに幽閉されパソコンに向かって雑務をこなす。
夜。そそくさと勉強を切り上げ、飲み会が始まった。
楽しかった思い出を反芻する。
頭の中にある引き出しから、記憶を取り出してみんなで眺める。
全てが過去になってしまった今では、あまりにも眩しすぎる記憶だけども、またいつか新しい思い出を作る約束を心の支えにして、パソコンを閉じた。
すっと静まる部屋。
眠るよっちゃんの元へ行こう。
25:32
2/4
朝。
Spotifyのプレイリストに曲を追加する。
高校時代、背伸びして買ったiPod Classicが宝物だった。
60GBに青春を詰め込む。
人生にBGMが搭載された。
ヘルメットの中で銀杏BOYZを歌いながら、駅から汗臭いカバンと共に原付で走り抜けた。
「ハロー今君に素晴らしい世界が見えますか」
細かい仕事が溜まり始めた。
集中して、一掃したい。
細かい部分をチェックするのが苦手だ。確認の連続。ミスの少ない人を心から尊敬する。
違和感を感じとる能力が長けているんだろうか。社会人になって最も心掛けたことは、疑いの目を常に持つことかもしれない。
新たに作り上げた能力だ。まだいまいち自分の体には馴染んでいない。
外付けのパーツなので、気を抜くと勝手にスリープ状態になってしまう。
疲弊して、帰路につく。
宿題が溜まっている。
朝追加した曲を聞きながら歩く。
友達から借りたCDをワクワクしながらタワレコのビニール袋から取り出した、あの時を思い出しながら。
「めぐる宇宙の輪廻を超えていちご畑まで」
00:38