12/1

「今年は日記を書こう」

そう思って日記を書き始めて11ヶ月。

気づけば12月に突入していた。

だいたいの目標はもって1ヶ月で無かったことになるけれど、今回はなんとか続けることができた。

少しずつ、世間が光を取り戻しつつある。

「クリスマスのCMをみるとわくわくするね」

よっちゃんが言った。

柔らかいショートケーキを食べる女の子がテレビに映っている。

今年が終わろうとしている。

あと1ヶ月で何ができるだろう。

24:02

11/30

副反応の症状がほんの少しだけ体の芯に残った状態で仕事の支度をした。

今日は飲み会がある。

「無理せず早く帰ってきてね」

よっちゃんが体を気遣ってくれた。

仕事の関係でやりとりをしている方との飲み会。2年近くお付き合いをしているが、初めての宴会だ。せっかくなので普段しないような話がしたい。

帰り道、滝のような雨の中、バスの時刻表を眺める。23時の欄は空白が続く。

タクシー乗り場にはたくさんの行列。

覚悟を決め、濡れた靴で坂道を登る事にした。

24:55

11/29

ワクチン接種の副反応に備えて今日は休みを取っていた。

寝ている間は問題ないんだけれど、起きて動き出すと少し倦怠感がある。

体の芯にはまだ熱が残っていて、下手に動くとどんどん侵食されそうな感覚だ。

食欲はあまりなかったけど、よっちゃんが作ってくれた野菜スープを食べた。

つみれの入った和風だしのスープは優しくて食べた瞬間に体が温まった。

寝て、起きてを繰り返し少しずつ芯に残った熱を追い出す。

iPhoneがアップデートされるように、自分の体にも新しい抗体がインストールされ、次のバージョンになれた。

24:06

11/28

目覚めると倦怠感があった。

ワクチンの副反応が起きている。

「携帯を見ずに寝ててね」

よっちゃんが仕事に向かった。

キッチンには野菜のスープを作ってくれていた。

ただ、ひたすら目を閉じて時間が過ぎるのを待つ。

熱があるといつも不思議な夢を見る。

パソコンで作業をしているが、どうしてもうまくいかない。

うまくいかないと分かっていても作業を続行する。

目が覚めても、夢と現実が曖昧で不安な気持ちが続く。

熱が上がってきた。

解熱剤を飲み、再度眠る。

よっちゃんからラインが届く。

あと少しだ。

21:55

11/27

ブラックフライデーという、まだ耳慣れないセールに便乗して、新居に必要なものを買い揃えようとよっちゃんと相談した。

シーリングライトやカーテンなど。

いいなと思うものには何か問題があったりする。

よっちゃんは全ての商品を片っ端から調べ上げ、最適な解答を得るまでは買い物を終えられない。

浪費癖のあるぼくにとってはとても助かっている。

結局、買い物カゴは空のまま夕方になり、ワクチン接種の時間になってしまった。

診察室に通され、あっという間に左腕にワクチンが打たれる。

発熱までの数時間。

いつものように、よっちゃんと鍋をたべよう。

22:08

11/26

仕事の進め方について上司と打ち合わせをした。

想像以上に時間が差し迫っている。

これまでも結論の出ない議論を繰り返してきたが、いよいよ行動に移さなければならない。

調整を進める。

この職場では調整が仕事の大半を占める。

それも順番や程度に配慮が必要だ。

調整能力の資格があれば取得するべきかもしれない。

帰り道、よっちゃんからラインが届いた。

「今日、ほんとにピザにする？」

今朝、cmを見てピザが食べたいねと話をしていた。

明日からぼくはコロナウイルスのワクチンの副反応で寝込む予定だ。

「最後の晩餐はピザにしよう」

24:10

11/25

「友達がインテリアコーディネーターの資格を取るために勉強してるんだって」

よっちゃんが言った。

建築士の勉強から解放されて1ヶ月。

なんとなく、新しい分野を勉強したくなっていた。

「職業はデザイナーです。」と語る人はどんなスキルを持っているんだろう。

webデザインや、広告物のデザインなど色々あると思うけど、才能の他にも基礎となる技術があるんじゃないだろうか。

デザインという言葉が広く使われてきて、建築分野もある意味デザインだ。

少し、心が躍った。

24:10